父・こんなこと(幸田文、新潮文庫)
父・こんなこと (幸田文、新潮文庫)を読みました。
『氷川清話』に引き続き、『困難な成熟』(内田樹、夜間飛行)で紹介されていた一冊です。
参考:
■兆民先生(幸徳秋水、岩波文庫)
■夢酔独言(勝小吉、講談社現代文庫)
■氷川清話(勝海舟、講談社学術文庫)
著者の幸田文は、幸田露伴の次女。
幸田露伴といえば、『氷川清話』で勝海舟が褒めていた人物です。
そんなわけで、近々幸田露伴の作品を読んでみたいなぁと思っていたら、図らずも先に娘さんの作品を読むことになってしまった。
こういうつながり方をするとは…。
いいですね、この流れるような文体。
樋口一葉ほどではありませんが、歯切れのよい流れです。
樋口一葉が川の流れだとすれば、幸田文は岩場の渓流という感じ。
ところどころ感情を露わに表現するところに、引き込まれます。
男勝りな人柄のようですが、非常に女性的な感性が文章からにじみ出ています。
幸田露伴のような父を持つと、大変だろうな…と思うけど、多分それは著者が誠実(という言葉を土橋さんは使う)が故にだろうと思う。
きっと程々でいい、という中途半端が嫌いな人なのではないだろうかと思います。
幸田露伴の作品も二三読みたくなってしましまいます。
30代子持ち男性サラリーマン。
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