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三酔人経綸問答(中江兆民、光文社古典新訳文庫)



三酔人経綸問答 (中江兆民、光文社古典新訳文庫)を読了。
面白かった。
一年有半と異なり、原文でもちゃんと意味がわかりました。
一年有半・続一年有半(中江兆民、岩波文庫)
原文と訳文の両方が掲載されており、どちらも味わうことができる素晴らしい構成です。
校注はほとんどないけれど、行ったり来たりすれば大体の意味はつかめます。
どちらも独特のリズムがあって、面白い。

さて、本書は問題提起の本だと思います。
当時の日本における課題とそれを取り巻く活動や世論をわかりやすく分類し、整理して、一冊の中で戦わせてしまったのだと私は理解しました。
帝国主義を読んだ後なので、どうしても幸徳秋水と洋学紳士が重なってしまいますが、その真意や如何に。
帝国主義(幸徳秋水、岩波文庫)
ひょっとしたら、これは世の中に向けてということもあるけれども、弟子たちに向けたテキストのようなものとして書かれた、という側面もあったのではないかと考えてしまいます。
対象はどうであれ、兆民自身も少なくとも多くの人間に思想という種をまくということを重視していることは確かであろうから、100%外れているということもないでしょう。
そして、多くの人の頭に残すためにあえて劇作のように拵えたのかもしれません。
確かに、座談形式なので読みやすく、自分の中で議論を咀嚼しやすい。
最終的になんの結論も書かれていないから、議論の扉は開け放たれた形で終わりますので、読後も自分の中で問い続けることができます。
ひょっとしたら兆民は、以降の議論を個々の自由に委ねることで種の肥料としようとしたのではあるまいか…。
などなど、読んだ後もなかなか楽しめる本です。

解説の中で、兆民の思想を端的に表す引用があったので、それを紹介します。

社会というものはな、秩序と進歩と相待ったものである、若しも急激に事を処すると飛んだ間違を起こすものぢやぞ、小児の病は癒ること速かなるが大人はそふぢやない。社会は成長すれば其構造も発達するものぢや、丁度人間の成長するに能く似て居るものぢや、斯く永久の年月を経て進歩する性質のものであるから、之れを改良するにはヤツパリ進歩の法則に従ひ、次第次第に根本的改良に従事せねばならぬものぢや、若しも急激に荒療治をするときは、正当なる身体をして却って害毒を来たし、不健康に陥らしむることがあるものぢや、徐かに急げとは社会改良家の一日も忘るべからざる言ぢや、理解たか理解たらモー帰れ帰れ(『中江兆民全集』第十七巻)(欄外に曰く。さあ、早く家に帰って『三酔人経綸問答』を読もう)(三酔人経綸問答P188)

改革を叫ぶ人は、この論をよく考えてみる必要があるだろう、ということを、以降頭の片隅に置いておきたいと思います。

 

戦艦大和ノ最期(吉田満、講談社文芸文庫)



戦艦大和ノ最期 (吉田満、講談社文芸文庫)を読みました。

父・こんなこと』(幸田文、新潮文庫)に引き続き、『困難な成熟』(内田樹、夜間飛行)で紹介されていた一冊です。

参考:
兆民先生(幸徳秋水、岩波文庫)
夢酔独言(勝小吉、講談社現代文庫)
氷川清話(勝海舟、講談社学術文庫)
父・こんなこと(幸田文、新潮文庫)

書名だけは聞いたことがありましたが、こういう内容だったのですね。
腹の奥に何か重たい物が残る一冊でした。
文語体で、リズムは堅く、体を突き刺してくるような文章です。
重油の重さが、水の冷たさが、血の臭さが漂ってくるような気がします。
読んでいると時間の間隔がおかしくなってきます。
何分間かしか読んでいないようなのに1時間近く立っていたり、何分も読んでるのに全然進んでいなかったり…これまであまりない経験をしました。

大和の大きさのせいかもしれませんが、戦場における一個人がいかに小さいのかということが強調されているように感じます。
ただ、その一方で、それでも戦場というフィールドに置いてはその小さい個人の働きが大きな役割を担っている、ということも同時に強調されているようです。

ーーー

当時から戦艦大和の最後の作戦が無謀なものだと理解されていたというのは意外でした。
そして、それでも突っ込む兵士たちの心境は結構揺れていたのだということもわかりました。
まぁそりゃそうだよなぁ、と思います。

主人公が助かって家に帰ったとき、父の「マア一杯ヤレ」と母の料理を振舞う姿に、胸がつかえるものを感じました。

 

辞令交付式への違和感(みんなよく参加するなぁ)

 今日は4月1日。  我社では辞令交付式が行われました。  そのため、土曜日ですが、人事課員として出勤しました。  明日も仕事なので、12連勤となります。   人事課の闇ですね。  それはさておき、辞令交付式に関して、毎年違和感を持ちます。  それは、お礼を言われる側が、何故かホ...