戦艦大和ノ最期(吉田満、講談社文芸文庫)
戦艦大和ノ最期 (吉田満、講談社文芸文庫)を読みました。
『父・こんなこと』(幸田文、新潮文庫)に引き続き、『困難な成熟』(内田樹、夜間飛行)で紹介されていた一冊です。
参考:
■兆民先生(幸徳秋水、岩波文庫)
■夢酔独言(勝小吉、講談社現代文庫)
■氷川清話(勝海舟、講談社学術文庫)
■父・こんなこと(幸田文、新潮文庫)
書名だけは聞いたことがありましたが、こういう内容だったのですね。
腹の奥に何か重たい物が残る一冊でした。
文語体で、リズムは堅く、体を突き刺してくるような文章です。
重油の重さが、水の冷たさが、血の臭さが漂ってくるような気がします。
読んでいると時間の間隔がおかしくなってきます。
何分間かしか読んでいないようなのに1時間近く立っていたり、何分も読んでるのに全然進んでいなかったり…これまであまりない経験をしました。
大和の大きさのせいかもしれませんが、戦場における一個人がいかに小さいのかということが強調されているように感じます。
ただ、その一方で、それでも戦場というフィールドに置いてはその小さい個人の働きが大きな役割を担っている、ということも同時に強調されているようです。
ーーー
当時から戦艦大和の最後の作戦が無謀なものだと理解されていたというのは意外でした。
そして、それでも突っ込む兵士たちの心境は結構揺れていたのだということもわかりました。
まぁそりゃそうだよなぁ、と思います。
主人公が助かって家に帰ったとき、父の「マア一杯ヤレ」と母の料理を振舞う姿に、胸がつかえるものを感じました。
30代子持ち男性サラリーマン。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
辞令交付式への違和感(みんなよく参加するなぁ)
今日は4月1日。 我社では辞令交付式が行われました。 そのため、土曜日ですが、人事課員として出勤しました。 明日も仕事なので、12連勤となります。 人事課の闇ですね。 それはさておき、辞令交付式に関して、毎年違和感を持ちます。 それは、お礼を言われる側が、何故かホ...
-
『春画の楽しみ方完全ガイド』(白倉敬彦監修、池田書房)を読了。 同じシリーズの「西洋絵画」「日本絵画」に続き、3作目。 ■ 【読了?】西洋絵画の楽しみ方完全ガイド ※日本絵画はまだ記事にしてなかった… 本作は前のシリーズよりも登場する絵師が少ないため、一人の絵師の複数...
-
先日読んだ『酒飲みの社会学』(清水新二著、素朴社)で紹介されていた『妻たちの思秋期』を読みました。 ■ 【読了】酒飲みの社会学(清水新二著、素朴社) 専業主婦が主人公の短編小説だと思って読み始めたのですが、大いなる勘違いでした。 前半では専業主婦としての悲し...
-
『村上春樹にご用心』(内田樹、アルテスパブリッシング)を読みました。 面白い。 先日アフターダークのことについては書きましたので、それ以外について。 ■ 【読了】アフターダーク(村上春樹著、講談社) 本書では、村上春樹氏が ①邪悪なるもの ②死んだ者 ③みんなが...
0 件のコメント:
コメントを投稿