戦艦大和ノ最期(吉田満、講談社文芸文庫)



戦艦大和ノ最期 (吉田満、講談社文芸文庫)を読みました。

父・こんなこと』(幸田文、新潮文庫)に引き続き、『困難な成熟』(内田樹、夜間飛行)で紹介されていた一冊です。

参考:
兆民先生(幸徳秋水、岩波文庫)
夢酔独言(勝小吉、講談社現代文庫)
氷川清話(勝海舟、講談社学術文庫)
父・こんなこと(幸田文、新潮文庫)

書名だけは聞いたことがありましたが、こういう内容だったのですね。
腹の奥に何か重たい物が残る一冊でした。
文語体で、リズムは堅く、体を突き刺してくるような文章です。
重油の重さが、水の冷たさが、血の臭さが漂ってくるような気がします。
読んでいると時間の間隔がおかしくなってきます。
何分間かしか読んでいないようなのに1時間近く立っていたり、何分も読んでるのに全然進んでいなかったり…これまであまりない経験をしました。

大和の大きさのせいかもしれませんが、戦場における一個人がいかに小さいのかということが強調されているように感じます。
ただ、その一方で、それでも戦場というフィールドに置いてはその小さい個人の働きが大きな役割を担っている、ということも同時に強調されているようです。

ーーー

当時から戦艦大和の最後の作戦が無謀なものだと理解されていたというのは意外でした。
そして、それでも突っ込む兵士たちの心境は結構揺れていたのだということもわかりました。
まぁそりゃそうだよなぁ、と思います。

主人公が助かって家に帰ったとき、父の「マア一杯ヤレ」と母の料理を振舞う姿に、胸がつかえるものを感じました。

 

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