売り渡される食の安全(山田正彦、角川新書)
『売り渡される食の安全(山田正彦、角川新書)』を読みました。
面白かったです。
現政権の産業界への傾注加減がよく分かります。
本書の内容をすっかりそのまま受け取るならば、全くひどいもんです。
政権にも官僚にも呆れ果てます。
どうして種子法の廃止なんてアホな事をするのかということもありますが、そもそも「そういうことができてしまう」ということが恐ろしい。
法治国家、議会制民主主義の限界を感じます。
非遺伝子組み換え食品の表示についても、我が国では「100%非遺伝子組換位食品でないと表示できない」という法律になっており、これは他の国の「0.9%未満」等の制限を更に厳しくしたものとなっているようです。
これは、つまり非遺伝子組換え食品との表示は「ほぼできない」制度を作ったに等しいものなのです。
だって、すべての素材をそれぞれすべて調べない限り、100%の保証なんてできないのですから。
著者は、ここに遺伝子組換え作物を生産している企業の思惑を見て取ります。
もしそれが本当なら、我が国の政府は完全に腐ってますね。
ーーー
アメリカの主婦たちが組織した食の安全を企業等に訴える団体の活動紹介もされていました。
その中で、有機栽培された食品を月に1万円ほど買いましょうという活動が展開されていました。
良い活動ですね。
以前読んだ『日本の「食」は安すぎる』(山本謙治、講談社+α新書)という本でも、消費者がいいものを買うという積極的な行動が農家やサプライチェーンを変えると書いていた。
私達市民も「意識的に選ぶ」こと、そして「声を出す」ことで自分たちの食を守るという姿勢が必要なのでしょう。
私ももう少し「選んで」「積極的に」お金を使っていこうと思います。
節約ばっかりしていては、世の中良くならないでしょうからね。
ところで、この本は、以前読んだ『日本は世界5位の農業大国』(浅川芳裕、講談社+α新書)と「食料自給率」「農家補償」について正面から対立しており、あちらを立てればこちらが立たずの典型のように見受けられます。
でも、議論をすることで、対立があると認識できるわけなので、対立が生じること自体は悪いことではないのだと思います。
見る人が見れば、きっと妥協点があるはずですし、そこにこそプロの視点や議論の意義があるように思います。
(これは、農業に限りませんね)
30代子持ち男性サラリーマン。
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