『街場の読書論』(内田樹、ミシマ社)を読みました。
めちゃくちゃ面白い。
教育問題は簡単に解決しないこと、現場に任せることが重要ということ、そもそも儲からないということ、グローバル資本主義から子どもを守ることの重要性、仕事論、メンターの不可欠性、外に求めることこそ学び…などについて非常に含蓄のある指摘をされています。
前ページに付箋を貼りたいくらい面白かったです。
大学で働く者としては、本書を読んで「大学同士で競い合う必要なんてないんじゃん」と思いました。
優秀な子が入ってこなくても、それはそれでいいのかもしれません。
そういう子をしっかりと教育できるようにしたならば、そこに大学の価値は自ずと現れてくるのではないだろうか。
すべての大学が東大である必要もないでしょうし。
あとは、そういう姿勢の大学を我々が守れるかどうかにかかっているように思う。
とういことはつまり、大学は経済的な文脈で経営を語っちゃいけないということですね。
そうなると、大学を運営するのは、やっぱり先生であるべきとも思いました。
経営のプロが大学を経営してしまうと、それはもう大学じゃない、ということですね。
また、労働は協同という考え方にも納得がいった。
自分は少しグローバル資本主義に侵されていたのかもしれません。
もう少しゆったりとした気持ちで仕事に向き合いたいと思います。
いいじゃんね、先生のサポーターで。
サポーターとしてどうしたら頑張る先生を助けられるのかを一生懸命考えるのも大事な仕事でしょう。
昨今は「教職協働」が持て囃されていますが、少し立ち止まって考えるきっかけになったように感じます。
(事務と教務が、お互いをプロとして認識し合えることが大事なのかもしれません)
それから、「言葉のストックを増やす」というのも目からウロコでした。
生まれたての自分というのは「空っぽ」で、言葉がそこに入ることで「その人が出来上がっていく」という考え方です。
思いを言葉にする、ではなく、言葉が思いを作るのですね。
だからこそ、まずはいろんな言葉を体に入れて、そこから自分の思想を作っていくというプロセスが求められる。
そのプロセスが逆になると「ムカつく」を何十通りにも使い分けるなどの事態になってしまう。
なるほどなぁ。確かになぁ。
今後も積極的(意識的)に日本語に接する生活をしていかなくちゃなぁと思いました。
(能でも聞いてみようかしらん。そうすれば真名と仮名の使い分けもうまくなるのかな)と思いながら、まずは百人一首の本を買いました。
ーーー
今後も、内田先生を勝手にメンターとさせていただき、著作もどんどん読んでみたいと思います。
(並行読みしているので全然読み終われないし、結構重なる話が多くて、興味深いと思った話が度の本の内容かわからなくなる、というのも、初めての経験です)
そして、著作の中で紹介されている本もいずれは取り組まねばならないでしょう…。
ちなみに、昨日から『街場の大学論』も読み始めました。
こちらは文科省の職員との対談なども入っており、たまりません。
一日が22時から24時の間にもう3時間分の隙間があればいいのに…。
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