最近、内田樹さんの著書にはまっています。
きっかけは氏のHPで下の記事を読んで、感動したからです。
大学教育は生き延びられるのか?(内田樹の研究室)
こんなにまとめて大学の歴史と問題点を述べた記事を読んだことがありませんでした。
しかも社会的な問題についても言及されている。
一体この人は何者なのだろう?と思ってほかの記事を読んでみても、どの記事も面白い。
面白いというのは、内容が非常に常識的ということと、すっと体に入ってくるような文章で語りかけてくれるという両方の意味です。
調べてみると、神戸女学院の教授だった方でした。
もう少しこの方の話を聴いててみたい(読んでみたい)と思い、何冊か本を借りて今読んでいます。
読んだのは「街場の教育論」、「街場の読書論」の2冊。
そして、途中ですが「下流志向」と「村上春樹にご用心」の2冊を今読み進めています。
あんまり面白いんで、ほかにも何冊か借りてしまいましたが、おかげで家事が進みません。
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さて、上記URLの記事ですが、ここには大学がどう失敗してきたかということが書かれています。
それは政策の誤りだったり、評価の誤謬だったりと様々です。
しかもこれらの失敗について、自身の誤りも認めたうえで指摘しています。
このことが非常に貴重だと思います。
政策は無能だったが、自分もそれに乗っかった。
しかし、それは誤りだった。
誤りだったから、私は謝る。そのうえで、是正すべきと提案したい。
一体どこに反論する余地があるのでしょうか?
また、評価の誤謬についても、一言申し上げたい。
結局、評価というのは、書面に落とし込むときには”測れるもの”しか記載ができない。
だから、本当に必要な”能力”を評価することなんてできないのだと思います。
内田氏は「街場の読書論」(P181から)で例えば警察官なら「群衆の中から怪しいやつを見つけだす力」というものを例に挙げています。
そんなのをどうやって筆記試験でスクリーニングするんでしょうかね?
同様に、組織のために必要な業務を見つけ出し、それを繕う人材をどのように見つければいいのか?
筆記試験と面接で対応できるわけないですよね?
今は無くなってきていますが、師弟関係というのがやっぱり大事なんだと思います。
それから、評価の手間が増えると、必然よく働く人ほどその手間が増えるというのも、なるほどと思いました。
私はこれまで、いかにして働く人の手間を減らすのか、そういう視点を持ったことがなかったのです。
どうやってまじめにやっていないやつに損をさせるかということばかり考えていたことを反省します。
先日ある先生(大学教授)から、「さしみの法則」というものを伺いました。
「さしみ」とは組織の構成を表し「よく働く人3割(さ)」、「普通の人4割(し)」、「全然働かない人3割(み)」ということだそうです。
なるほどなぁと聞いていましたが、要するに「さ」の人をもっと大切にしようと思えば、評価なんてなくしたほうがいいということになっちゃうのですね。
というような感じで、氏の講義(著書・記事)からは非常に鋭い指摘がブスブスと私に突き刺さってくるのです。
そして、それがなんだか心地よい。
もうしばらく内田先生の講義を受け続けてみたいと思います。
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