娘が観る(と言うか妻が観る)のと一緒に、毎週『プリキュア』を観ます。
今観ているのは『スターティンクル・プリキュア』で、私は前作の『HUGっとプリキュア』からプリキュアを観るようになりました。
今観ているスターティンクル・プリキュアは、「なんやかんやありまして、毎回敵を4人で倒します」というストーリーなのですが、冷静に考えると結構恐ろしい敵を相手にしているのです。
敵方は、まずチーム編成として、ピラミッド型の組織体制を構築しています。
そして、構成員もなかなかに多い(毎回撤退しても、その都度同人数程度の陣形が整えられるくらいに層が厚い)。
幹部も(現段階では)4名おり、それぞれに部下と能力が配されているし、痛めつけられてもへこたれない強靭な肉体と精神を持ち合わせています。
しかも登場と退場では消えるようにして、どんな危機的状況でも問題なく逃げ切ることができます。
対して、プリキュアは4人体制(2体おまけがいるけど)です。
こうなると、敵方が一斉に、しかも空間的に隔たれた箇所で好き放題に暴れた場合、プリキュアは1対多の戦闘に望まなくてはならなくなる。
しかも敵方は、登場、退場に瞬間移動ができるような能力者たちなので、そもそも襲来をどう補足するのか、補足したとして敵方と戦闘態勢を整えることができるかどうかも怪しいというのが、私の見立てです。
私が敵方なら間違いなくそうやって消耗させるでしょう。
結局プリキュアには守るもの(街や市民)が多すぎて、守りきれないという状況を作ることが一番手っ取り早いのです。
こうなると、プリキュアたちは単に能力が高ければいいというわけには行きません(もちろん魔法少女のまどか位のスペックがあればどうにかなるかもしれませんが…)。
そこには、市民と行政を絡めた危機対応策を策定しなくては話しにならないのです。
実際に、とんでもない能力の敵がおり、私達(プリキュア)しかそのことを知らないし、武力的に対応できるものがいないとしても、どうにか武力対応をするために危機発生を検知するネットワークの構築を図らなくては市民の安全を守れるはずがありません。
そうしたことに気づいたとき、彼女たちに必要な能力は実は「危機を共有する力」ということが見えてきます。
つまり、力があるだけでは、多くのものを守ることはできないということです。
社会や都市を守るためには、広く、多くの人を巻き込む能力が求められるのです。
もしプリキュアたちが持てる資質や人的ネットワークを駆使して敵方と相対するなら、多分来週話くらいで敵方は打ち砕かれるでしょう(プリキュアの周りには優秀な人材がかなり強固な絆を有する形で配されているのです。例えば優秀なAI、宇宙工学者兼資産家、宇宙人、他のスターの力などなど)。
もちろんそれでは1年(50週)なんて持たせるのは壮大すぎますし、「それってプリキュアなの?」という気もしてしますしね。
(でも前作HUGっとプリキュアはそんな構成がところどころにありました。あれは、間違いなく子ども向けの作品ではありません。やってることはテロリズムですが、敵方のほうが論理的に考え、世の中を良くしようという気概に満ちていました。世の中を良くしたいと思うからこそ危険なのだというロジックは、幼少期の子どもにはいささか早いように思えます。)
というようなことを書きながら、これって『シン・ゴジラ』のことでは?と思えてきました。
『シン・ゴジラ』はまさにそうした人的資源の組み合わせで危機を乗り越えた作品です。
シン・ゴジラ風のプリキュアがもし作られたなら、ぜひ劇場で観てみたいものであります。
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