汎用AIがBIを連れてくる?(AI時代の新・ベーシックインカム論から②)

先日読んだ『AI時代の新・ベーシックインカム論』で紹介されていたAIの発展について、思うことを少々。

近頃、囲碁や将棋の世界でのAIの話題が多くなってきております。
これらは、特定の処理を高速に行うことができる、「特化型AI」と呼ばれています。
ある特定の職域は、こうした「特化型AI」に取って代わられることが予想されますが、人間の特異的な性質は「汎用性」という、新しい処理を覚えてそれをブラッシュアップできるところにあります(だから本当は人間よりAIのほうが専門職は得意なんでしょうね。かつ、人間には汎用性があるのであるから、昨今の非正規化の流れは、経営者の自由を追求するとすれば、必然なのだと思います。余談ですが)。
ところが、今AIの世界で目指されているのは、まさにその汎用性を持ったAI、すなわち「汎用AI」の開発なのです。
汎用AIが完成した暁には、情報を扱うことはすべてAIがやってくれるようになるようです。
情報というとわかりづらいかもしれませんが、要するに事務仕事については、ほとんどAIやAIを搭載したロボットが人間の代わりにやってくれるという事ですね。
「Hey,Siri.ウチの会社の過去5年の売上実績と純利益を比較して、分析結果をA4一枚くらいのレポートにしてくれる?」みたいなことができるようになるかもしれません。

こんな時には、もうロボットが肉体労働も取って代わるでしょうから、言葉通り、殆どの仕事がなくなります。
残る仕事は、想像系、経営・管理系、ホスピタリティ系の仕事のみとなり、更にそれらの仕事のなかでも、半分近い仕事が特化型AIによって奪われる可能性があると指摘されています。
結局、人口の一割くらいの人しか働く必要がなくなる社会が来るわけです。
「そんな世界で大丈夫なの?」と思いますね。
答えは、微妙です(またか!)。
働く人が減ったとしても、経営する人は、機械やAIを使って収益を出すことができます。
つまり、経営者と貧困者の格差が拡大していくわけです。
ただ、こうなると、実は経営者も困ります。
なぜなら、モノに対する需要が次第に乏しくなり、付加価値をつけてイノベーションを起こす機会がなくなるからです。
そうなると、どんどん経済全体が落ち込んでいくことになり、結局は資産家もジリ貧になっていくという流れですね。
ところが、こうした社会にBI(ベーシックインカム)が導入されることで、人々の暮らしを守ることができ、かつ需要も喚起することができるというのが著者の主張です。

大体こんなことが2030年頃から2060年までには、起こるだろうとのことですから、ひとまずはそこを安定して迎えることができるように、貯金をしておかなくちゃなと思います。
あとは、その辺から働かなくていいなら、なるべく元気に趣味を謳歌したいと思いますので、あまり仕事を頑張りすぎず、のんびり心穏やかに健康的な暮らしをしていきたいなぁと感じます。
実際のところは、BIが導入されるかどうかわかりませんし、汎用AIが導入されるかもわかりません。
だから、今まで通りに生きていくほかない訳ですが、こういうことを考えると、「お金の心配がなければ何がしたいか」という皮算用が、現実味を帯びてきます。
皆さんは、お金の心配がなければ何をしたいですか?

私は、正直、今の生活のままでいたいです。
上昇志向なんてありませんし、現状維持で十分幸せです。
ただ、仕事をしなくていいならば、今仕事をしている分の時間の半分くらいをボランティアに使い、もう半分を趣味に使うくらいがちょうどいいような気がします。
こんな考えが広がり、人々の自発的な活動が、結局みんなの暮らしを豊かにするような社会になるのであれば、さっさと汎用AIが普及して、BIも導入されるといいなと思います(そんな都合よくいくとは思えませんけどね)。

ただし、と著者は警鐘を鳴らします。
汎用AIが導入されて、BIが導入されないならば、格差が拡大し、固定化された社会、すなわちディストピアの社会が到来することも想定されるのです。



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