【読了】春画入門(車浮代著、文春新書)
春画を鑑賞するための基本の「き」を解説する入門書。
本当に、入門!という感じで、すぐに鑑賞に役立つ基礎知識がまとめられていました。
特に面白いのは、技術について詳細に説明をされていることです。
前提として、すでに江戸時代には、現在もある出版のシステムのようなものが確立されていて、版本(企画、立案)したものを絵師、彫師、摺師の三者が共同で作る形になっていたようです。
そして、大体、私たちはいつも絵師のことばかり話題にしますが、実は浮世絵の作成について一番重要なのは彫師なのだそう。
そして、次が摺師で、絵師は実は割りとかんたんになれる仕事だったようなのです。
絵師が優秀な彫師に下絵を渡す際には、下絵の髪の部分などにどう描くか文字で指示書きしておけば、後は彫師が掘ったというのだから驚きです(例えば、頭に髪型(丸髷など)の指示書きをしたりした)。
そして、彫師の技術は、1ミリの中に3本の髪の毛を彫ると言われているくらい、精巧なものであったということが紹介されていました。
また、摺師についても、彫師同様職人適な技術が求められますが、彼らの技術があったからこそ、版画にグラデーションを凝らしたり、エンボス加工をしたりということができたのだそうです。
ちなみに、摺師によって、最終的な作品の出来は大きく変わるらしく、だいたい最初の摺りを熟練者がやるため、次第次第に絵の色合いや重ね方が雑になるということが説明されていました。
面白いですね。
本書の良い点は、西洋に与えた影響にも言及をしているところだと感じます。
1800年台後半のパリ画壇が重視する写実主義に対して登場した、後に印象派と呼ばれる画家(例:モネ、ドガ、ルノワールなど)も浮世絵(春画も含むかもしれない)に影響を受けているとのこと。
そういうことを知ると、また美術展に行きたくなってきますね。
先日読んだ『春画の見かた』(早川聞多著)のときにも思いましたが、やはりくずし字を読めるようになりたいという思いが溢れ出ています。
すごいモチベーションに包まれて、まるで超サイヤ人になったような気分です。
実はもう、くずし字の練習に関する本を図書館に予約をしているので、借りたら勉強を始めたいと思います。
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