おこづかいの内訳と減らすとしたらどうするか(おこづかいの内訳ver.20200205)

前回の記事ではおこづかいとして、月にだいたい15,000円ほどを使っていると書きました。
あまり興味のある人がいるとも思えませんが、だいたい何にどれくらい使っているかを以下に記載いたします。

 1.交通費 3,000円
 2.娯楽費 3,000円
 3.通信費 2,000円
 4.本 1,000円
 5.飲み会 5,000円
 6.その他 +α
 計 14,000円+α

以上です。

 ちなみに、仕事は週5日のフルタイムで、だいたい朝7時半に出勤し、夜の7時半ころ帰ってくるスタイル。
午後5時に業務終了して、7時までは残業か、残業がなければ読書したり筋トレしたりランニングしたりしています。
 昼食は普段は弁当(卵かけご飯)を食べています。
 また、この中には子どもと遊びに行くお金も含まれています(例えば動物園や美術館など)。
 ということで、私のおこづかいを絞ることで子どもの娯楽まで制限がかかってしまうということなのです。なんという心無い親!
 あと、酒は去年訳あってやめました(時々飲んじゃってますが)

 ここからは各論です。
 減らせる余地がないか、検証していきます。

1.交通費について
 交通費を削るのはかんたんですね。
 どこでも自転車で行けばいいのです。
 ただ、そうなると、夏と冬の真っ盛りはかなり移動が制限されます。
 子どもの体調不良が心配ですからね。
 現状では、だいたい週末に500円〜1,000円ほどかかりますので、出かけるのを減らすことでも削れます。
 しかし、近場でばっかり遊ぶというのも、味気ない感じ。
 最低でも週500円は確保したい。
 そうなると、やはり2,000円の消費はしょうがない気がしてきます。

2.娯楽費について
 娯楽費はやりようですが、やはりコンテンツの質とバラエティーを尊重するのであれば、ある程度高くなってしまうのは仕方ない気がします。
 やはり個人的な趣味としても、有名な絵画が展示されている特別展は2,000円払っても観たい。
 となると、高いのは月に一度に限定するなどの工夫が必要かもしれませんね。
 あとは、年間パスポートを購入するというのも手です。
 例えば上野動物園は2,400円で年間パスポートを購入できますが、これは年5回以上行くともとがとれます。
 個人的には、国立科学博物館の常設展示の年パスは今度買おうと思っています。
 とはいえ、これらにはどうしても交通費がかかりますので、その点も考慮しながら購入を検討する必要がありそう。
 落とし所としては、月に、2,000円クラスを1回、500円以下のクラスを2回、位がいいところでしょうか。
 となると、月に3,000円くらいですね。
 やっぱりこのくらいはかかる。

 だんだん面倒になってきました。

3.通信費について
 現状はワイモバイルのガラケー(電話のみ月1,600円)とポケットワイファイにOCNモバイルのsim(妻のに相乗り月400円で常に速度制限)の2つの回線で運用しています。
 一番安いのは、スマホでIP電話を使用することなのでしょうけれど、仕事の関係で電話回線は持っておきたいところ。
 あとできればスマホを持ち歩きたくない。
 今のガラケーは今年の8月で契約が更新できるので、そのタイミングでLINEsim(月1,200円)を導入し、−400円を狙います。
 突き詰めれば、ocnモバイルも合わせてやめて−800円を狙えるのですが、そうすると休みの日の仕事が全くできなくなってしまうというリスクを抱えます。
 正直、ここが一番の悩みどころ。
 たかが400円、されど400円。
 まぁ、リスクは極力取り除きたいので、月1,600円で行きましょう。

4.本について
 本は、買うのにムラがあります。
 どんどん買って読みたい時期もあれば、そんなことどうでも良くなってしまう時期もあります。
 ちなみに、今は、全然本を読みたくならない時期です。
 何か勉強を始めると、現状の月1,000円では全然足りない。
 ただし、そうでなければ、ほとんど買うこともない。
 実際読みたい本は、殆どが古典なので、kindleで読めばかなり安く読めますし、最近の図書館はネットで取り置きなどもできますので、買う必要がない。
 とはいえ、文化資本としての本も家の中に必要でしょうから、月にブックオフで1冊100円の本をかうというのでどうでしょうかね。
 正直それで文化資本としての役割をはたすかどうかわかりませんが、まぁ、ありなんじゃないでしょうか?
 ということで、月100円。

5.飲み会について
 ここが一番削りやすく、そして削りづらいところでしょう。
 削るのはかんたんです、行かなきゃいいんです。
 しかし、行かないことで、不都合のある孤独を生むリスクがある。
 となると、たまにはいったほうがいいのでしょう。
 しかし、現状の月1での計上は高すぎるとも言える。
 ということで、少数精鋭(?)を掲げて、2ヶ月に1回というペースでいかがでしょう。
 そうすれば、だいたい月に2,500円位で行けるのではないでしょうか。

 その他については、まぁおおめにみましょう。
 あんまり締め付けすぎるとろくなこともありませんからね。
 ということで、今後のおおまかなおこづかいの内訳は以下の通りとなります。

 1.交通費 2,000円
 2.娯楽費 3,000円
 3.通信費 1,600円
 4.本 100円
 5.飲み会 2,500円
 6.その他 +α
 計 9,200円+α

果たしてこれで運用できるんだろうか…。
どう考えても絵に書いたも(ry

お金を使わないことを目指すのがいいことなのかどうなのか

私は大学の関係者ですが、今大学の置かれている状況はなかなかに厳しい。
少子化がどんどん進む中、定員の削減は定期昇給があって、雇用の整理ができない日本ではなかなか難しい(どんどん頭でっかちになっちゃうから)
また、一度作った組織を壊すのは、そうそうできることではない。
失敗した事業(例えばあまり人の集まらない立地に校舎を建ててしまった、など)もかんたんには是正できない。
また、事業から撤退したとしても、マイナスのイメージが着くから、大本の授業料納付金が集まらない(定員が確保できない)というリスクが伴い、判断を更に先送りにし、事態が悪くなっていく(大体理事も高齢なので、自分のいるときには撤退をしたがらない)。
こう書くと、高等教育というのは、なかなか経営が難しい業種なのかもしれない。
というか、いろいろな意味で、起死回生ができない業種といえるのかもしれません。

まだまだ私の職場は普通に給料をもらって、普通に少しくらいの残業をすれば回るくらいの状況ですが、定員割れをしている大学さんは多分新卒も雇えず、毎日馬車馬のように働いているのだと思います。
とはいえ、明日は我が身。

そんなことを思えば、とりあえず今のうちにお金をためておこうと思うのは当然のことでしょう。
これは日本経済低迷の根本的な理由の一つに加担をすることになるかもしれませんが、リスクを考えると、貯めざるを得ない。

収入は残業をすれば増えるでしょうけど、働き方改革がこうも叫ばれている時代にそんな働き方は許されることもなく、かと言って副業をするほどの時間的な余裕もない。
家事、子育ては待ってくれません。
じゃあどうするの? 支出を減らすしかないですよね。

ということで私の今のお小遣いは2万円ほどです。
といってもこの内使うのは1万5千円程度。
家計は私が管理しているため、2万円はあくまで予算としての考えで、実際には2万円をもらうというよりは、倹約をしながら生活していたらだいたい1万5千円で過ごせているという状況です。
で、これをもう少し絞ろうとすると、結構しんどい。
多分、以下のようなことをしなくてはいけなくなります。

・携帯電話のsimを最安のデータ専用にして、電話はIP電話にする
・交通費を浮かせるため、どこにでも自転車で行く(子供を連れて)
・高い料金の娯楽施設には行かない
・飲み会には行かない
・本は図書館で借りる
などなど…

まぁもうすでにこの辺のことは半分足を突っ込んで入るんですが、今よりも締め付けるとなると、多分子供の活動範囲(休日の遊び内容)にも影響を及ぼしそうで気が引ける。
自分のモチベーションとしても、収入が深刻なまでに少ないわけでないから、ついつい「別にいまのままでいいんじゃねぇの?」的な落とし所を探る自分がいる。
とは言え、一方で「ここまで削れたらやばくない?(すごくない?)」とウキウキする自分もいる。
でもそれを「一体何のために生きているんだい?」と諭そうとする自分もいる。

どうすればいいのかは、多分その時のノリで決めるのでしょうけど、多少は人付き合い(通信費、交際費)にはお金をかけないと、それはそれで老後の孤独など、別のリスクを生みそうだなぁなんてことも思うし、リスクを想定し始めたらなんだかもう全部考えるのが面倒になってきてしまう。

とりあえず65歳までの収入と積立のシュミレーションはしてみたのですが、仮に私の勤める大学が15年持つとすると、65歳まで働けたときのおよそ半分ほどのお金しかたまらない。
そしてそれは残りの人生を賄えるほどの額ではない。
(年金もあてにできないしね)
だからできれば潰れないでほしいなぁと思うけど、こればっかりはなんともわからない。
転職はあまり考えていない。というのは、今の状況はまだ悪くないから。
でも今後悪くなったとして、(例えば15年後に)転職できる仕事なんてあるのかな、と少し不安になるのは『AI時代のベーシックインカム論』を読んだから。
仕事がなくてもベーシックインカムがあればいいけど、仕事が無いけどベーシックインカムがない世の中も十分ありえるわけで。

いざとなれば、バイトで妻と2人で月10万円ずつ稼げば、まぁ不自由なく暮らせるわけだから、当面は今のシュミレーションで続けて良いのかもしれない。
でも、自分が働けなくなったら…?
その保険も必要なのかなぁ…。
と言うか、そういうときこそ人のつながりが大事な気もしてくる。
やっぱりある程度、使うべきときにはお金を使うべきなのでしょう。
でも、「使うべきとき」っていったいいつのことなのだろうか…。
そして、何に対して…?

ーーー
年金については、先日未来年表 人口減少危機論のウソ (扶桑社新書)を読んで少し安心したのですが、「しかし本当に想定する経済成長を起こせるの?」という疑問が残りました。
なかなか不安はなくなりませんね。
とはいえ、本書は将来に新しい視点を示してくれました。
一読をおすすめいたします。


スピードアップは目隠しと同じ


スローライフでいこう―ゆったり暮らす8つの方法 (ハヤカワ文庫NF)

私達にとって、効率化が極限まで求められようとしているこの社会は、果たして”良い社会”なのでしょうか。
本書は、その問いを真っ向から否定して、スピードダウンすることの利を提示します。
現代社会の抱えるスピード狂いという現象は、実は仏教の祖、ブッダの生まれる前から存在し、多くの宗教や思想が効率追求による弊害を説いています。
具体的なステップを事例を踏まえて解説し、自分の人生を”意識して”生きるための方法を提示します。

具体的には、以下の8つのステップに集約されます。
1.スローダウンする
2.1点集中する
3.人を優先させる
4.感覚を制御する
5.精神的な仲間を持つ
6.啓発的な本を読む
7.マントラを唱える
8.瞑想をする

私は本書を購入して6年となります。
これまで何度通読したかわかりませんが、それでこの8つのステップを完成できるわけではありません。
はっきり言ってまだ1つもちゃんと取り組めているような気がしません。
ただ、6.7.8あたりについては、具体的にアクションすることなので、いくらか取り組みやすいと感じています。
特に、そのうちの「啓発的な本を読む」については、朝と夜寝る前に啓発的な本を読みましょう、ということなのですが、私の個人的な嗜好もあって、結構長く続けていられています。
著者は啓発的な本の例として「法句教」や「ヴァガヴァッド・ギーター」などを上げており、つまるところ思想の本ということで、これまで私にとってあまり関わりのなかった宗教や思想の書を手に取る機会を増やしてくれました。
そこで説かれている考えは、なかなかエキサイティングで、私に「そんな考えがあるのか」という驚きや、「すでにここまで整理して考えていた人がいるのか」という畏怖をもたらし楽しませてくれます。
また、ガンディーについての記述は、その後、私にとって特別な意味を持つようになりました。
ガンディーという一人の人間がいかに遠くまでたどり着いたか、私は20代の最後になってようやく知りました。
対話に基づく合意形成こそが市民の果たすべき使命であり、ガンディーはその使命を自身の生き方で表現したように思います。
市民的な成熟のモデルをダンディーにみるとすれば、成熟自体が困難なことに思えますが、ガンディーを目指すことが成熟へと向かう道と考えれば、道の上には乗れる気がします。
そしてこの「道に乗る」ということが”信仰”というものなのではないかな?とそんなことも思います。



本書はいろいろな思想や宗教が提示している”自分の人生をよりよく生きる術”を整理、統合し、現代社会でも理解・実践されやすいようにまとめたものです。
「なんかよくわからないけど毎日慌ただしい」と感じている人や、「一体何のために生活しているのかよくわからなくなってきた」と感じている人には、ぜひ一度手にとってほしいと思います。
著者の体験した「慌ただしい日常」における「小さな気付き」は、そうした人たちの気付きにも寄与するはずです。

共働き社会は格差を固定する



結婚と家族のこれから~共働き社会の限界~ (光文社新書)

仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)人口減少社会の未来学を上げながら、出生力の回復に向けて、女性の社会的なつながりと経済基盤の確保の重要性を指摘しました。
しかし、結婚と家族のこれから~共働き社会の限界~ (光文社新書)では、共働き社会の実現は、必ずしもいいことばかりではないことを突きつけてきます。
共働き社会は、格差の固定を引き起こしかねないのです。

原因は、女性の社会進出が進む一方で男性の非正規雇用率を高まっていることが一点。
また、人は、放っておくと価値観や考え方の近い同類と結婚する傾向があるという点がもう一点。
この2つが組み合わさるとどうなるか?
その答えが、「傾向として、金持ち同士、貧乏同士のカップリングが増える」という事態に至る、というわけです。

私の読んだ限りでは、これを解決するすべはまだ見つかっていないようです。
著者は税の仕組みからこの解決が測れないか?との問を立てますが、税の仕組みは一長一短あり、あちらを立てればこちらが立たずと言った状況で、バシッと解決する方法はまだ見つかっていないのだとか。
具体的に言えば、あんまり高所得者に税金をかけ過ぎるとカップルが成立しにくくなるし、かと言ってやすくすると格差が広がる…そんな感じです。
筆者は最後に、「結婚しなくても困らない社会を作ること」が大事では?との提言をしていました。

以下は私の感想です。
「結婚しなくても困らない社会」この実現にはもうベーシック・インカムしかないのでは?と早合点したくなります。
ベーシック・インカムであれば、低所得の人のほうが税的な補助が多くなるし、子供を生むことで収入が増えるわけだから出生力にプラスに働くと思われます。
また、そもそも子供を経済的な負担から作れないという事態は減るのではないでしょうか。
加えて言えば、こうした経済的な基盤があることで、ケア・サービスに就職するハードルも下がり、サービスの拡充が格差の是正を伴いながら、進んでいくのではないでしょうか?
(ちょっと話がうますぎるので、眉唾ものですが)

ちなみに、現状ではケア・サービスは格差が前提で供給されており、ケア・サービスは供給する側が、自分たちのケアの機会を奪われる事態が生じています。
例えば、移民のケア・ワーカー(ナニー)は、自分の子供のケアを自国のケア・ワーカーにまかせています。
つまり、国と国との格差を利用して、先進国はケア・サービスを享受しているわけですね。
ケア・サービスを受けれる経済的に優位な女性しか、経済的な安定を得られないという格差の固定化が進んでいるようです。



ベーシック・インカムに興味のある方は、下の書籍もご参考になさってください。
   

関連記事
【読了】AI時代の新・ベーシックインカム論(井上智洋著、光文社新書)
【読了】ベーシック・インカム(原田泰著、中央公論社新書)

少子化対策のヒント(『人口減少社会の未来学』から)



人口減少社会の未来学を読みました。

前回の記事では少子化においては、女性がいかにして経済基盤を獲得するかが出生力の回復に重要な要素であり、「共働き社会」の実現が少子化社会脱却の第一歩になるのではないか、という提言をした『仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)』を紹介しました。

これについて、「ではどうすればいいのか?」のヒントが『人口減少社会の未来学』には書いてあります。

本書は専門の異なる著者陣が、自身の専門領域から人口減少という現象を捉えてその社会がどこに向かうのか、どういう対応が求められるのか、などについて論じています。

著者陣の一人、平田オリザさんの章には、女性が子供を生みたくなる自治体の具体的な取り組みが紹介されています。

特に市役所内にワークシェアリングの場を設けるなどの取り組みは、女性をコミュニティーに緩やかにつなぐ、素晴らしい取り組みだと思います。
ただ、平田オリザさんの提言の中で私が重要だと思ったのは、「女性が昼間っから酒を飲んでも後ろ指を刺されない社会でないと話にならない」という指摘です。
このことは、何も女性が昼間から酒を飲める環境をもっと作るべき、という具体的な対策をすすめるものではないと思われます。
この指摘は、もっと大きな視点、すなわち「個人を尊重しつつ、緩やかなつながりが形成できる社会」を目指しましょうという提言だと私は捉えました。

これからの自治体は、女性が安心して子供を産み、育てる環境を作れるかどうかが生き残りのポイントで、そのためには、母親の生活しやすい社会基盤が必要です。
こういった社会基盤を整備するためには、市民一人ひとりが「個人を尊重する」「個人が社会につながることを奨励する」意識を持つことが重要で、そのことを「昼間から外で酒を飲んでも」に込めたのだと思います。

女性が安心して子供を産み、育てられる自治体であれば、やがてその子供たちが大人になり、子供を産もうと思ったときに帰ってくる可能性も高まるでしょう。
多くの自治体がそうなれば、国として見た際には少子化という問題が改善されていることになる。
そして、現にそういう自治体が出てき始めている。

地域が母親を助け、地域で子供を育てるという意識のある自治体づくりが求められているということですね。
でも難しいのは、あまり介入しすぎるのもマイナスだということ。
それは確かに勝手すぎる気もしますが、それが移住者の本音であることもまた事実でしょう。

自治体の担当者は、こんなに難しいことを調整しなくちゃいけないんだから、まずは公務員の給料を上げるとこから始めてもいいのでは?と思えてしまいます。
公務員の皆さんにはほんとに頭が下がります。

【読了】仕事と家族(筒井淳也、中公新書)



仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)を読みました。

女性の長期的な収入確保をどうするかが出生力に影響するようです。
ノルウェー(大きな政府)とアメリカ(小さな政府)はどちらも先進国の中で出生力が回復している国なのですが、その2つの国と他の国を比較しながら、そのことを本書は論証していきます。

それらを踏まえて、「日本ではなぜ少子化が進んでいるのか」といえば、日本は総合職という男しか働けない環境が広く整備されており、政府も企業のこの雇用体系をずっと支援してきたから、とのこと。
(そのおかげで財政支出を抑えることができたから)
こうすることで、女性は家庭にいることしかできなくなってしまったわけですね。
ここには農家を含む自営業がどんどん減っていったという背景も関わります。

このことはつまり、国が企業の働かせ方を変えさせれば、極端な少子高齢化を回避することができたと言えます。
でも、それをしなかった。
そこには戦争を経験した国民の「出産についての言及を忌避したがる感情」があったということもあるということですが、だからといって政府がそこまで具体的な対策を取ってこなかったことを否定できるわけではありません。
要するに国民・政府が目をそらし続けているわけですね。

また、個人的には、産業界の体質が全然変わっていないというのが非常に気になりました。
一大学人としては、これだけ大学に変われ変われと言っている産業界自身が全然変わっていないと言うのは笑止千万です。
自分たちが変われないから周りに変われというのはわがままではないでしょうか?

ちなみに、私自身は、少子化問題についてはかねてから「しょうがないのでは?誰も悪くないし…」と思っていました。
しかし、本書を通読すると、政府としてできることがこんなにもあったんだなぁと勉強になりました。
(あるいはそれは振り返ってこそわかることなのかもしれませんが)
そして、私のこの政府への批判は、結局のところその政策を議論させることのできなかった有権者(つまり私)にも向かってしまうということにも気付かされます。

本書一冊で「じゃぁ、個人としては結局どうしたらいいの?」という質問に即答できるはずもありません。
(結婚して産めというのは暴論でしょう)
しかし、その答え…ではないですが、ヒントは人口減少社会の未来学にありましたので、後日紹介します。

それと、余談ですが、著者は「「共働き社会」は日本社会のこれからの社会的連帯の第一歩であると筆者は考える。」と書きますが、実は結婚と家族のこれから 共働き社会の限界 (光文社新書)において、「共働き社会」が格差を固定化しかねないという論に達します。
自分で提言した内容の、批判を自分でしてしまうと言うのは、すごいことだと感じます。
こちらについても、後日紹介できればと思います。


【読了】街場の大学論(内田樹著、角川文庫)

『街場の大学論』(内田樹著、角川文庫)を読みました。


『下流志向』などの内容といくらかかぶるところはありましたが、少し古めの記事が多いような気がします。
しかし、最後まで読めば、しっかり前半の認識の誤りを訂正している箇所があり、「あぁやっぱりいつもの内田先生だね」という感じで読み終えれました。

以下、備忘。

1.学生の質について
 学生の質は下がらざるを得ない。
 なぜなら入試とは同一集団内での自身の立ち位置によって合否が決まるものであるから。
 18歳人口という分母が小さくなる上に、大学の定員数は拡大するという状況は、ようする年々同じ学力なら上の大学に入りやすくなることを意味する。
 (絶対的な学力に対するボーダーラインがどんどん下がっていくわけですね。)
 だから、同じ大学に入るのに、10年前と同じ量の勉強をする必要が無いということ。
 このことが大学の質低下の原因と考えられる。

2.評価について
 正しい評価をしようとすると、全体を規格化しなくてはならない。
 そうなると、有能な人も規格に当てはめることになる。
 A.働かない人を働かせて、働く人を枠にはめ込む
 B.働かない人は無視してして働く人に気持ちよく働いてもらう
 という2択について、どちらのほうがメリットが多いかを考えるべき。
 ちなみに、A.であれば、全員が雇用契約書通りにしか働かないことになる可能性が高い。
 イノベーションは、Bのほうが起きやすいのではないだろうか。

3.文科省行政担当者の考え方
 これが、なかなかおもしろい。
 大変”話せる人”ではないか!というのい少々驚いた。
 文科省は…なんて考えていた自分が恥ずかしい。
 同じ人間なのです。担当者レベルでは色々と考えながら働かれていることを理解しました。
 そして、文科省からのメッセージについては、行間を読むことが大切なのですね、と言うのは目からうろこでした。
 つまり、大学に主体性を持ってほしいというのが文科省の考え方なのかなと個人的には理解したいと思います。
 でも、大学の設置規制をもう少し強めてもいいような気がします。

以上、備忘。

大学経営の問題の一つに、定員を満たさないと黒字にならないという点があるのでは無いかと思えてきます。
どうしてそんなにギリギリで経営をしてしまうのでしょうか。
大学人なのに、こんな問に答えられないことが非常に心苦しいのですが、人件費がかかりすぎなのでしょうか?

ということで、少し考えてみましょう。
年間70万円の授業料で150人(1学年の定員数)→1億5千万円
四年間だから、1億5千万円×4年→6億円
教員が30人体制なら1000万円×30→3億円
残りが3億円。
3億円を150人×4年で割ると…50万円
1年間に一人あたり50万円しか教育費をかけれないのか…
教員によっては1000万円/年どころではないでしょうし、教員の他にも事務職員だとか、非常勤講師分なども入るとすると、50万円でも心もとない気がしてきますね。

やっぱりお金かかるんだなぁ。
自分なんて2年間の卒論研究で100万円なんて吹いて飛ぶくらいの試薬とか溶媒を使いましたからねぇ…。
大学全体に撒ける助成金も決まっている以上、大学数が増えればそれも減るし、ほんとにジリ貧ですね。
人件費を下げれば、人材は流出するし、どうすりゃいいんですかね?
(助成金を増やせば解決する気もしますが)

また、定員や、教員数管理については、18歳人口は18年前にその変遷が読めるわけですから、ある程度文科省の方でコントロールしてもいいように思えます。
というかお上からある程度言わないと、どこも減らさないでしょう。
下のほうの大学が定員を少し減らしたところで、上位1割の大学その減少分を攫っていくような事態になりかねません。
ということで、偏差値の高い大学にこそ、規制をかけてはいかがでしょうか?
そうすれば、多分下に下に降りてくるはずです。
実際、昨今は定員厳格化によって、中間層の大学が潤っているはずですから。
…とここまで書いて、なるほど文科省の政策も、必ずしも変なことばかりではないのだなぁと思わされます。
23区内の大学は10年間定員増不可と聞いたときには、何してくれてんのか?と思いましたが、一大学人とは違って、制度としての全体の大学を見なくてはならない以上、全然視点や考え方が違うのかもしれません。
もう少し、「この政策は何を狙っているのか」について、頭を柔らかくして考えなくてはならないなと反省させられます。

結局、文科省としても、都市部の少数の大学を生き残らせたいわけではないのでしょう。
でも、やっぱり受験者の思いとしては、都市部に出たいものだと思います。
であるならば、やはり規制は必要だと思います。
人は都市部のみに生きるわけではありませんからね。
広く、可能な限り多くの方に大学の機能が享受されるようにするには何が必要なのか、一大学人として大学を考える前に、一市民として、大学のあり方を考えていかなくてはならないのかもしれません。

辞令交付式への違和感(みんなよく参加するなぁ)

 今日は4月1日。  我社では辞令交付式が行われました。  そのため、土曜日ですが、人事課員として出勤しました。  明日も仕事なので、12連勤となります。   人事課の闇ですね。  それはさておき、辞令交付式に関して、毎年違和感を持ちます。  それは、お礼を言われる側が、何故かホ...