共働き社会は格差を固定する



結婚と家族のこれから~共働き社会の限界~ (光文社新書)

仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)人口減少社会の未来学を上げながら、出生力の回復に向けて、女性の社会的なつながりと経済基盤の確保の重要性を指摘しました。
しかし、結婚と家族のこれから~共働き社会の限界~ (光文社新書)では、共働き社会の実現は、必ずしもいいことばかりではないことを突きつけてきます。
共働き社会は、格差の固定を引き起こしかねないのです。

原因は、女性の社会進出が進む一方で男性の非正規雇用率を高まっていることが一点。
また、人は、放っておくと価値観や考え方の近い同類と結婚する傾向があるという点がもう一点。
この2つが組み合わさるとどうなるか?
その答えが、「傾向として、金持ち同士、貧乏同士のカップリングが増える」という事態に至る、というわけです。

私の読んだ限りでは、これを解決するすべはまだ見つかっていないようです。
著者は税の仕組みからこの解決が測れないか?との問を立てますが、税の仕組みは一長一短あり、あちらを立てればこちらが立たずと言った状況で、バシッと解決する方法はまだ見つかっていないのだとか。
具体的に言えば、あんまり高所得者に税金をかけ過ぎるとカップルが成立しにくくなるし、かと言ってやすくすると格差が広がる…そんな感じです。
筆者は最後に、「結婚しなくても困らない社会を作ること」が大事では?との提言をしていました。

以下は私の感想です。
「結婚しなくても困らない社会」この実現にはもうベーシック・インカムしかないのでは?と早合点したくなります。
ベーシック・インカムであれば、低所得の人のほうが税的な補助が多くなるし、子供を生むことで収入が増えるわけだから出生力にプラスに働くと思われます。
また、そもそも子供を経済的な負担から作れないという事態は減るのではないでしょうか。
加えて言えば、こうした経済的な基盤があることで、ケア・サービスに就職するハードルも下がり、サービスの拡充が格差の是正を伴いながら、進んでいくのではないでしょうか?
(ちょっと話がうますぎるので、眉唾ものですが)

ちなみに、現状ではケア・サービスは格差が前提で供給されており、ケア・サービスは供給する側が、自分たちのケアの機会を奪われる事態が生じています。
例えば、移民のケア・ワーカー(ナニー)は、自分の子供のケアを自国のケア・ワーカーにまかせています。
つまり、国と国との格差を利用して、先進国はケア・サービスを享受しているわけですね。
ケア・サービスを受けれる経済的に優位な女性しか、経済的な安定を得られないという格差の固定化が進んでいるようです。



ベーシック・インカムに興味のある方は、下の書籍もご参考になさってください。
   

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