大石内蔵助―赤穂四十七士 (西本 鶏介、講談社 火の鳥伝記文庫)を読みました。
実際に歴史を動かした人たちがどんなことを思っていたのかということが細かく書かれた伝記で、面白く読めました。
ただ感想としては、「野蛮」だなぁというのが私の感じたところです。
(これはあくまでも現代から見た視点なのだと思いますが)
そもそもなんで吉良上野介を切ったのだろうかと疑問です。
また、なぜ吉良上野介が浅野内匠頭をいじめなくちゃならなかったのか。
その辺は、まだ本当にわかっていないのだそうですが、この解釈だけで物語の意味が全然変わってしまいます。
そこがわからないのになぜこんなにも赤穂浪士の擁護するようなストーリーになってしまうのかがわかりません。
当時、内匠頭がおかしいという話にならないのはならなかったのでしょうかね。
そういうことをしでかすはずの人物でないのだとしたら、なぜそういう史実を支持する資料がないのか気になります。
ファンからしたら暴言かもしれませんが、例えば内匠頭が短気で傷刃に及んだとすれば、キチガイ部下が逆恨みで復讐したと取れないこともないような気がします。
これが武士の振る舞いだと胸を張って言えるのでしょうか。
腹を切れば何でも許されるわけでもないでしょう。
あくまで現代の目線で見たらという前提ですが、ちょっとクレイジーです。
最後の討ち入りのシーンに至っては、吉良家の家臣や家族たちなんてなんの悪さもしてないのに、可愛そうだなと思ってしまいました。
ということで、最近兆民先生や幸徳秋水に影響されている私としては、
「菊と刀はこの物語に義理と恩の分類で説明を試みていたましたが、私にはさっぱりわかりません。
持て余した野蛮人が勝手な大義を作って壮大な、人騒がせな復讐を果たして自殺したってだけではないでしょうか」
と書きたいところなのですけれど、私にはやっぱりこの話を美談として捉えたい気持ちがわかってしまいます。
ということで私も日本人の型にしっかりとはまっていることを実感しました。
そしてこういう感覚が自然にあって、それが社会を覆っているのであれば、たしかに我が国はまだまだ市民社会には到達していないのかもしれません。
菊と刀が書かれた時代にはそうだったかもしれませんが、今の若者はどうなのだろう。
ぜひ若い人の「忠臣蔵」に関する感想を聞いてみたいものです。
案外私と似たような感想を持つ若者も多いような気がします。
(気のせいかもしれませんが)
それにしても、こうした子ども向けの伝記というのは、とてもわかり易いですね。
入門書として、ざっくり、一般的なことを学ぶには、非常に良いように思います。
ちょこちょこ読みつつ、シリーズを読破したい気持ちになりました。
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