【読了】大学の理念(カール・ヤスパース著、理想社)

大学の理念
大学の理念
理想社
一応通読したけど、難しい。
言葉遣いが厳かです。

なかなか理解できない箇所も多々ありましたが、わかるところを総合して見ると、先日読んだ『文系学部廃止の衝撃』に近い事が書いてありました。
大学とはなんぞやということから始まり、国家との関係にまで言及。
もう60年も前に書かれた本なのに、今日の大学を取り巻く環境について指摘しているのではと思えてしまう本です。

個人的に印象に残ってるのが、学生は大人だという箇所。
大人が学びに来ているのだから、育ててもらうのではなく、頑張っても頑張ってもついていけない学びにそれでもなんとかついていこうと自分をそういった環境における人こそ大学の理念に沿う人なんだ、というようなことが書かれていた。
本当にそのとおりだと思いました。

以下は、根拠のない戯言です。

大学は、真理を追及する場所であり、真理の追及においては教えてもらうものではなく、自分で学ぶことでしか新しいところにはたどり着けないものだと考えるためです。
だから、そもそも就職力(この〇〇力って言葉も品がないですが)なんてもので大学を測ること自体が大学を理解していないということだと思います。
大学が役に立つことしかやらないのなら、それはもう企業の代わりです。
そうではなくて、大学は企業もやらないし、大衆も求めてないけど、それでもその人たちに代わって研究をすることで回り回って実は企業にも人類にも貢献してしまうという、そういう機関だと思います。
そして、貢献はただの結果です。
研究した結果が貢献するか否かは、その研究に取り組む動機になるべきでない気さえします。
なぜなら真理の探求とは、答えのわからないことと格闘することだからです。
それは言ってみれば中に何が入ってるかわからないからくり箱を開けるような作業とも言えるかもしれません。
もちろん、社会に対して研究の意義を説明することは、公の性質を持つ団体の一員である以上、避けて通ることはできないでしょう。
しかし、その研究には、まだ答えが見えていません。
だから、意義なんてのは絵に描いた餅でしかないのです。
そして、答えが見えてないことに取り組むからこそ、社会がその訓練を受けた人として、学生を欲するのです。
つまり、言ってしまえば対象はなんだっていいというのが私の見解です。
各教授の先生がただ真理の探求への情熱を拠り所にして、常にその道の先頭にたち、その後を学生が追いかけてきて、先生は学生がさらに自分の先に行けるように指導する体制がが整うのであれば、間違いなくその大学は社会に対して還元をしてると言えるでしょう。
つまり、研究の充実により、学生も気づいたら育ってる、ということになるんじゃないでしょうかというのが私の考えです。
多くの人が、大学に研究の充実を求める事が、今の大学を救うことになるように思えてなりません、

以上戯言でした。

この本と似たタイトルの本として、オルテガの『大学の使命』という本があります。
まだ読んではないのですが、そちらはむしろ大衆を底上げしてこその大学だという立場を取る本のようです。
ぜひ近いうちに読んでみたいなぁと思います。
大学の使命
大学の使命
玉川大学出版部



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